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【岡本】社員へ成長を促す人事制度設計_昇格制度編

等級制度を設計する際に、どうすれば、より上位等級に昇格できるのかについて昇格基準を設定します。例えば、『人事評価結果』『資格取得』『研修受講』『面談・面接』『推薦書』などが昇格基準の代表例として挙げられます。このなかで、今回は、『人事評価結果』『資格取得』『研修受講』を取りあげて、社員の成長を促すための工夫をご紹介します。

 

①人事評価結果

例えば、『直近3回の評価において2回以上A評価を取る必要がある』のような昇格基準を設定することで、昇格を目指すにあたり、社員は人事評価結果を意識するようになります。高評価を取るには、高い数値目標の達成や難しいテーマへ取組むなど、必然的に自己成長を伴う取り組みが必要となります。

そこに、『1つ上の等級の人事評価項目でも評価を行い、一定の評価を獲得することを必要とする』という工夫を加えることも一案です。上位評価項目の評価結果を昇格基準の一部に含めることで、社員は上位等級に必要な能力を伸ばすことに意識を向けやすくなります。

 

②資格取得

社員に保有させたい資格などはあるものの、なかなか資格取得が進まないような場合もあるでしょう。

日常業務に追われる中で、資格学習を進めることは社員にとって負担が大きく、資格取得へのモチベーションが湧きにくいことも一因として考えられます。

そのような場合に昇格基準に、資格取得を組み込むことも一案です。昇格するためには資格取得が必要となり、      

学習への動機づけを促しやすくなることが期待されます。但し、取得難易度の高い資格を設定してしまうと、昇格させたいのに昇格させられないということが起きてしまいますので、その点を踏まえて厳選して設定することが肝要です。

 

③研修受講

研修体系として、昇格したら課長研修を受けるなどの仕組みを整えている企業もあると思います。このような昇格時研修とは別に、昇格するために修了が必要な研修を設定しておくことも、社員の成長を促すための工夫として挙げられます。例えば、受講してほしい複数の研修を受講対象として予め設定・開示しておいて、その中から最低2つの研修の修了証明書を要することを昇格基準として設定するなどです。社員は、指定された候補から、自らのより興味・関心のある研修を選択し受講することができるため、会社が指定の研修受講を強制する場合よりも社員の研修に対する動機づけを促しやすくなることが期待できます。

但し、研修受講も、資格取得同様に、ハードルを上げ過ぎるのは禁物です。例えば、管理職に昇格するタイミングなど、対象となる等級を絞って厳選して設定することが肝要です。

 

さて、今回3つの方法を紹介しました。これら全てを取り入れることが最善策ということではありませんが、目的と運用実現性を踏まえて自社に適した昇格基準を設定するための参考にして頂ければと思います。

執筆者

岡本 充裕 | 人事戦略研究所 コンサルタント

前職では、製造業にて経理・採用・制度企画などに7年間従事。組織の抱える悩みや課題を解決する事の難しさを痛感するとともに、組織創りの遣り甲斐を感じた。この経験を活かして、より多くの企業に対して支援をしたい想いから、新経営サービスへ入社。コンサルティングを通して、経営者の『抱える問題を解決する』『夢を叶える』為の力になりたいという熱い想いを胸に、経営者と二人三脚で歩む人事コンサルティングを心掛けている。