人事制度のつくり方

人事制度の基本的な作り方や、サンプル・ひな形・事例などをご紹介します。

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賃金制度のつくり方

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賃金制度のつくり方

賃金制度の改定は、社員の採用・定着に大きく影響を及ぼすとともに、企業の利益に大きな影響を及ぼす、重要な制度です。

1. まずは賃金ポリシー(方針)の検討から

会社の賃金制度は、長年の積み重ねにより“なりゆき”で決まっていることも多いものです。世間に合わせて家族手当や住宅手当を導入したり、業績好調時に昇給を大きくし過ぎて能力給が高騰していたりしている企業が多く、明確な賃金ポリシーがある企業は少ないようです。

 給与制度・賞与制度を改定する際は、「わが社は何に対して賃金を支払うのか」「限りある人件費をどう配分するのか」の議論からスタートします。

年功給 ・年齢や勤続年数を重視する考え方
・年齢に応じた社員の生活面(家族、住宅など)も重視する
年齢給、勤続給、経験給、家族手当、子女教育手当、住宅手当
能力給 ・短期的な成果ではなく中長期的な社員の実力を重視する
・基本的には、積み上げ型の賃金
能力給、職務給、役割給、役職手当、資格手当
成果給 ・短期的な成果を重視する
・毎年の成果によって、賃金も大きく変動する
歩合給、成果給、業績給、営業手当、報奨金

2. 基本給を考える

基本給を考える

一口に基本給といっても、給与体系の考え方によって様々な制度があります。年齢給、勤続給、能力給、職務給、成果給、歩合給といった具合です。大きなトレンドとしては、年功給と職能給中心の体系から、職務給や成果給の割合が拡大していると言えます。

 ただし給与制度は、業種・職種特性や、会社ごとの思想をもとに決定するものです。年功給中心の会社も、成果給中心の会社も、どちらが良い悪いということはありません。また、複数の考え方を組み合わせて決定するなど、柔軟な発想で検討を進めることも重要と言えます。

3. 諸手当を考える

法律上、残業代などを除くと、必ず支給しなければいけない手当はありません。大半の企業が支給している通勤手当ですら法的に支払う義務はありませんし、全く通勤手当を支給しない国もあります。

 給与制度改定の際には、基本給だけでなく、諸手当についても同時に見直します。諸手当を整理するポイントは、「自社に必要性があるかどうか」「必要であれば、どんな水準であればよいか」です。「もし全くゼロの状態から給与制度を考えるとしたら、その手当をつくるだろうか」と考えてみるのもよいでしょう。

 例えば家族手当について、配偶者分をなくす代わりに、子供分を増額する企業があります。少子化対策に貢献したい、というその企業独自の考え方があるためで、明確な賃金ポリシーです。その他、資格手当などについても、現時点あるいは今後の自社での必要性によって、対象資格に優先順位をつけながら支給額などを決めていきます。

 ただし、単純に支給項目を廃止するのは、社員にとって不利益変更になります。給与制度全体を見直す際に、他の給与項目を新設する、あるいは他の給与項目に組み入れるかたちで廃止するといった措置が必要になります。

4. 賞与制度

賞与制度

賞与原資・賞与総額の決定については、業績連動型を志向する会社が増えてきました。明確な業績指標を設定することで原資決定基準を作成しようというのが業績連動型賞与制度です。

 様々な業績指標が考えられえますが、会社にとって最も採り入れやすいのは、経常利益や営業利益です。利益が多い年は賞与も手厚くするが、利益が少ない年は賞与も減らすという流れは、企業経営の観点からは納得しやすいからです。

 その際、利益の絶対額と賞与総額を連動させる方法のほかに、売上高に対する利益の割合(=売上高対利益率)、株主資本に対する利益の割合(=ROE)といった収益性指標を使うことも、それぞれに合理性があります。

 また、社員から見れば、売上高や粗利益高の方が分かりやすいということで、指標として加える企業もあります。業績指標が決まれば、過去の実績や今後の見通しから、何度もシミュレーションを繰り返し、適切な連動基準を設定します。売上高対営業利益率5%の時に基本給2ヶ月分の賞与、といった具合です。

 賞与原資の決定基準を先に決めておき、その原資を配分する際には人事評価結果を使います。評価結果によって、大きくメリハリをつける企業もあれば、あまりメリハリをつけない企業もあります。更に加えると、例えば営業職のメリハリは大きくし、事務職のメリハリは少なくするなど、職種別に原資の配分ルールを決定している企業もあります。社員のモチベーションが向上するような仕組みを心がけましょう。

5. 退職金制度

退職金を賃金に含めるか否かは意見が分かれるところですが、等級制度や給与制度を変更すると、退職金制度に影響を及ぼす場合が多いものです。人事制度改定の際には、検討を忘れないようにします。

 最近では、「退職時の基本給×在籍年数に応じた係数」といった算定方式を辞め、「ポイント制退職金制度」の導入により在籍期間トータルでの貢献に応じて退職金を支払おうとする企業が増えてきました。ただし、これも退職金ポリシー次第です。「退職金は、長年の勤続に対する慰労」という意味が強いのであれば、在籍年数に応じた支給で問題ありません。そういった意味では、ポイント制退職金制度は「何に対してポイントを付与するか」によりポリシーを反映させやすい仕組みと言えます。