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【森中】「人事評価制度をやめる」という選択とその背景について考えてみる(2)

(前回を見ていない方は、まず「人事評価制度をやめる」という選択とその背景について考えてみる(1)」をご覧ください)

 

私がお会いしたのは何れも2代目経営者の方であり、共通して語られたのは次のような趣旨の内容であった。

 

 ・我社の中間管理職はほとんどがプレイングマネージャーであり、現場の管理業務で忙しく、人事評価に時間を割くことは物理的に難しい

 ・また、我社の管理職の能力では適切な人事評価、面談を行うのは現状無理であるし、正直そこまでのパフォーマンスは期待していない

 ・人事評価に割ける時間を増やす代わりに管理業務の負担を減らすのは本末転倒である。それなら自分が全員評価した方が効率的である

 

上記のような発言から、私は「中間管理職に対する経営者としてのスタンス」に「違和感」を感じざるを得なかった。

とはいえ、誤解のないように伝えておきたいのだが、(前回述べたような状況の打開策として)人事評価制度を中断ないし廃止することとしたジャッジ自体は正しかったと考える。そのまま続けていれば退職者が出たかもしれないし、経営者自らが社員の仕事ぶりを見られる環境で直接評価を下す方が合理的で社員にとっても納得感がある。当面は評価制度が無くても問題無いし、評価に対する社員の不満も出ないだろう。

 

しかし、できれば管理職をフォローしながら続けられなかっただろうか、とも思う。なぜか。

貴重な管理職育成の機会を失ってしまったと感じるからである。自身で正しい評価ができるから管理職にやらせないのではなく、自身で正しい評価ができるなら尚更、管理職を指導しながら制度を継続すべきでもあったのではないか。

人事評価制度の運用というのは確かに難しい。経営者でも難しいのであるから、管理職にとっては尚更である。しかし、だからこそ管理職にとっては重要な成長の機会でもある。すぐには十分な成果が期待できないが、時間をかけた分だけ成熟していくことは間違いない。時間がかかる取組みなのに、その機会自体がストップしてしまったのであるから、非常にもったいなく感じたものである。

当面はいいかもしれないが、会社の成長に従って(ずっと今の規模のままいくならそれもよいが)いつまでも経営者が全員の評価をするわけにはいかなくなる、そんなことは頭の中では当然考えているのだろうが、お会いした方々は何れも人事評価制度の復活予定はしていないという。そうなってから復活しようか、という意図であろうか。

もっとも、初対面の訪問で上記のようなぶしつけな会話をするのはさすがに礼を逸するため、「大変ですね」「当面は今のままがいいでしょうね」と言うに止めておいたのだが、できるだけ早い段階で復活に向けて動いてくれることを願うばかりである。評価制度を管理職に任せたときに、また一から苦労しなければいけなくなるかもしれないから。

執筆者

森中 謙介 | 人事戦略研究所 マネージングコンサルタント

人事制度構築・改善を中心にコンサルティングを行う。初めて人事制度に取り組む中小企業がつまづきやすいポイントを踏まえ、無理なく、確実に運用できるよう、経営者に寄り添ったコンサルティングを旨としている。