【森谷】第15回:大企業と中小企業
大企業と中小企業の人事制度は、在り方が少し違うと考えています。ここでの大企業・中小企業の定義は、単純に従業員規模だとお考えください。
賃金制度においての違いは、前回(第14回ご参照)述べたことも絡みます。
個別対応や特別待遇が多くなれば、大企業では収拾がつかなくなり、管理が追いつきません。中小企業であれば管理は可能で、個別対応のメリットも享受できます。
故に、大企業ではルール通り、中小企業では一部個別対応、がセオリーと言えます。
評価制度においても違いがあります。
例えば、一般的に大企業は新卒一括採用を行います。単純化すると、従業員数8000人の会社は同期や同い年が200人いることになります。常に相対評価が可能ですし、社員が自分自身の5年後・10年後を考える場合、5年先輩・10年先輩を見ればイメージできます。評価基準も、昇格基準も、細かなものがなくても成立します。
しかし、中小企業は違います。
例えば少人数の部署であれば、若手社員の一つ先輩が30歳上の部長だったりします。どういうステップを刻めば30年後その部長のようになるのか、全くイメージできません。よって、等級ごとに「こうやって成長していくんだ」という細かな職務基準を作り、それを判定するための細かな評価基準をつくります。
また、同期が不在もしくは少人数であるため、相対評価は難しくなりますので、作成した職務基準や評価基準により絶対評価を行うのが基本となります。
故に、大企業では大ざっぱに、中小企業では細やかに、がセオリーとなります。
一般的にイメージされるものと逆かもしれませんね。