【森谷】第9回:最低賃金にご注意を(2)
(第8回を見ていない方は、まずそちらをご覧ください)
今後の総額人件費を予測するにあたり、最低賃金の上昇が大きく影響します。前回、
非正社員全員の年間総労働時間 (1)
×
最低賃金の上昇予測額 (2)
+
法定福利費の上昇額 (3)
という公式をご紹介しました。
(1)非正社員全員の年間総労働時間
貴社では、この時間数を把握されていますでしょうか?
人件費の目算を立てるにあたり、結構重要な指標です。是非ご確認ください。
移動平均法により、常に直近1年の総労働時間を追っていければ、なお良いでしょう。
(2)最低賃金の上昇予測額
平成29年の最低賃金の上昇額は、概ね以下となっています。
宮城県:24円 東京都:26円 石川県:24円
愛知県:26円 大阪府:26円 福岡県:24円
あと2年で東京・神奈川が、あと4年で大阪が1,000円の大台に乗るペースです。
昨今の最低賃金の上昇で、新規スタッフの採用給が大幅に上昇しています。それにより、既存スタッフとの差が詰まってしまいますが、同じ時給にする訳にもいかず、既存スタッフの時給も同時にアップさせ、結果としてベースアップに近い状態になっている企業も多いと思われます。
そう考えると、(1)×25円程度が賃金上昇額ということになります。
(3)法定福利費の上昇額
つい忘れがちなのが、法定福利費の上昇額です。かなり大ざっぱに計算すれば、会社の負担額は賃金の15%です。時給25円の上昇は、実質28.75円の上昇ということになります。
以上を具体的なイメージにすると、
(1日6時間×週4日×月4週×12ヵ月)×スタッフ2,000名×25円上昇×115%
となり、その金額は6,624万円となります。恐ろしい数字です。
貴社では、人件費の将来シミュレーションが正しく行われているでしょうか