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社員を巻き込んだ等級基準書の見直し方

人事制度のお悩みをお聞きする際に『うちは等級基準書を作ってから何年も経ってしまって、現状の仕事内容と合ってないんですよね』と言った話をよく耳にします。そして、その後にはほとんどの方が『見直すにも人事部ではどのように見直して良いかわからず、現場の業務も把握しきれていないので難しい』とおっしゃられます。このような悩みを抱えている企業様は多く、弊社への問い合わせも少なくありません。

そこで今回は人事部のみで等級基準書を見直すのではなく、人事部が主導となって社員を巻き込みながら等級基準書を見直す方法を3つ紹介します。

 

 ①評価者に対するアンケートによるヒアリング
こちらは等級基準書の改善点をアンケートによって収集する方法です。人事部はアンケートの作成とアンケート回答を基にした等級基準書の見直しを行います。アンケートであるメリットとしては簡単に多くの意見を集められるという点や回答内容の重複度合いによって評価者目線で改善要望の多い部分がどこかを把握することができます。一方でアンケート回答者の目線がバラついている、設問の設定が適切でない場合は回答自体が参考になりにくいなどのデメリットもあります。その為、この手法を取る際には既存の基準と実際の実務を比較してレベルが高いか低いか、基準の内容に不足している部分は無いかなど基準見直しにあたり何を確認すべきかを明確にした上で設問を作成することをお勧めします。

 

 インタビューによるヒアリング
こちらは社内からヒアリング対象(主に評価者)を選定して、インタビュー形式で等級基準書の改善点をヒアリングしていく方法です。人事部はヒアリング内容を基に等級基準書の見直しを行います。先ほどのアンケート方法とは異なり意見の数を集めるには不向きです。一方で、一人にしっかりと話を聴くことができる為、回答の背景なども踏まえて理解することができます。ただし、メンバーの選定が難しく、経営層/現場、新卒/中途、職種などの区分で偏りが起こらないように対象者の選定を行う必要があります。

 

③プロジェクトの発足
こちらは等級基準書を見直すプロジェクトを立ち上げ、主に評価者をプロジェクトメンバーとして議論を行う方法です。これまでの方法とは異なり、プロジェクト内で等級基準書の見直しまで行います。その為、この方法では社員への協力負担がより大きくなります。一方で等級基準書の改善に向けて、社員をしっかりと巻き込んで取り組むことができるというメリットがあります。その効果の一つとして、プロジェクトに参加するメンバーは自分たちの手で見直しを行うので、必然的に等級基準書への理解が深まります。


今回紹介した3つの方法は人事部主導で行う等級基準書の見直し方法です。ただし、どの手法も現場の協力を必要とするので、工数などを踏まえて自社に見合った手法を検討してみてください。また、必要に応じて外部機関を上手く活用しながら進めるのも良いでしょう。以上を踏まえ等級基準を見直す参考にしていただければ幸いです。

 

執筆者

岡本 充裕 | 人事戦略研究所 コンサルタント

前職では、製造業にて経理・採用・制度企画などに7年間従事。組織の抱える悩みや課題を解決する事の難しさを痛感するとともに、組織創りの遣り甲斐を感じた。この経験を活かして、より多くの企業に対して支援をしたい想いから、新経営サービスへ入社。コンサルティングを通して、経営者の『抱える問題を解決する』『夢を叶える』為の力になりたいという熱い想いを胸に、経営者と二人三脚で歩む人事コンサルティングを心掛けている。