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賃金制度設計 必ず押さえるべきポイント

賃金制度を設計する際には、「何に対して賃金を支払うか」を定めた上で、それを「どのように支払うか」を決める必要があります。

しかし、「どうのように支払うか」にだけ目が行ってしまい、社内での意思決定が進まない状況をよく目にします。

 

具体例として、ルート営業を行う営業マンの処遇について議論された、製造業A社の一例をあげてみます。

A社では、「顧客企業X社への対応は、他の企業よりも大変であるため、営業担当者には手当をつけるべきだ」という議論がなされていました。しかし、「大変なのはA社の業務だけではないだろう」「それであればB社を担当している営業マンにも手当をつけるべきだ」等の様々な意見があり、是非がなかなか決まっていませんでした。

弊社からのアドバイスとして、上記の通り、「何に対して賃金を支払いたいのか」を、以下の内容もベースに検討を進めてみてはどうかとお伝えしました。

 

A社の対応はより労力がかかるため、その大変さに対して処遇したい

A社の対応をするには高度な対応力が求められるため、能力の高さを適切に処遇したい

A社からの売上が大きいため、その貢献に対して処遇したい

 

上記を提示したことで、各々が「何となく必要」「何となく不要」と感じていたものを、改めて明確にすることができました。そして、議論の結果、「A社への対応力は高度であるが、それを適切に処遇できていない」という点が問題であると共通認識を持つに至りました。そして、それについては、「手当」で処遇するのではなく、能力に応じた適切な昇格を行い、しかるべき基本給を支払うべきだ、という結論に至りました。

 

賃金制度のあるべき姿に迷った際には、改めて「何に対して支払う賃金なのか」を明確に出来ているかを確認しながら進めましょう。

執筆者

小田原 豪司 | 人事戦略研究所 シニアコンサルタント

大学で経営学全般を学ぶなか、特に中小企業の「ヒトの問題」に疑問を感じ、新経営サービスの門をたたく。
企業の「目的達成のための人事制度構築」をモットーに、顧客企業にどっぷり入り込むカタチで人事制度策定を支援している。