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【本阪】人事評価結果を、恐れずフィードバックしていますか

人事制度を作りいざ運用を始めても、人事評価結果を適切にフィードバックしていないという企業様もあるようです。または、マネジャー(評価者)によっては実施のムラがある、ということはよくある話かもしれません。筆者ご支援先企業様(A社)でも、評価フィードバック自体を運用スケジュールに入れたくない…という経営側からの意見もありました。

 

その理由をお尋ねすると、①時間がない②マネジャーの説明力によってはハレーションを起こしかねない③フィードバック前提になると厳しい評価が行いにくい…とのことでした。

時間はともかく、②③から察するに“余計な揉め事が起こる”ことを恐れているようです。

 

フィードバックがないことのデメリット

そもそも人事評価結果がフィードバックされず、評価の理由が秘匿にされていると、被評価者の心理としてどうなるでしょうか。

 

 ■処遇(賃金決定など)への納得が得られにくい

 ■今期の頑張りが承認されているのか、されてないのかよく分からない

 ■今後強化すべき成長課題が本人も分かりにくい

 

などが挙げられます。

 

実際A社(結局フィードバックをしていない)でも、いざ昇給のタイミングで、「どうしてこれだけの昇給なんですか?」という質問が上がっていました。給与改定額は評価結果を用いているので、賃金規程を見れば凡そ評価ランクが分かるのですが、“評価理由“を聞いていないので、そのようなニュアンスの質問が来ることも想定内の出来事ではあります。

 

また余談ですが、筆者の前職でも最終評価ランクが文字情報で通知されるケースがありました(ルール上か、たまたま評価者が怠っていたかは不明)。そのため「何が評価されているか」は“?”でした。かと思えば、ある時突然「もう少し後輩の面倒を見てあげてほしい」と言われ、「そういう役割が期待されていたんだ、目標達成すればいいと思ってた!」と当時は思ったものでした(そもそも評価項目や基準を全く意識していませんでした)。

 

どうすれば恐れずフィードバックができるか

それでは、フィードバックで余計な揉め事が起こらないためにどうしたらよいか。まず、「②マネジャーの説明力」に関して、A社の懸念通り、伝え方によってはハレーションが起こることもあり得ます。そのため、評価面談トレーニング等を実施し、テクニカル面で不安解消を図ることも重要です。

ただし、面談対応方法だけに留意するのではなく、前提として“好き嫌いや気分ではなく、定めている基準に沿って判断した”ということを自信もって伝えられる状況にしておくことが肝要です。

 

人が人を評価することに完璧はあり得ませんが、その中でも自信を持ってお伝えするためには、日頃から成果物をレビューしたり、行動を観察したり、オンライン・オフライン問わずコミュニケーションを取った接点を意識し、その時の出来事を忘れないように記録をすることに尽きます。根拠に裏打ちされた評価を、自信をもってお伝えできたら、そこまで大きく問題にはなりません。

(なお、定めている項目や基準そのものに、大多数のマネジャーが違和感を覚え、適切な評価が行いにくい…と感じるようなら、制度として見直しが必要かもしれません)

 

また、「③厳しい評価を行いにくい」に関しては、評価者との信頼関係も重要です。

信頼できる上司なら、どのような評価結果でも真摯に受け止めるでしょう。日頃から判断に責任を持つ、言行一致、的確な指導や助言、サポート…etcといったリーダー像が体現出来ているかはもちろん重要です。また、遠隔であってもコンタクトをとっている頻度が高く、間接的でも自分の働きを見てくれていることが分かっていれば、納得度は違うでしょう。

 

反発を恐れてフィードバックを行わないでいると、処遇への納得感が高まらないのは当然のことです。また、過去の筆者のように、文書に落としていてもよく見ていない、自分はこれでいいんだと思っている…案外期待されている役割が理解できていない、組織の期待値とピントがずれている…なんてこともあります。何が良くできていて、何を改善すべきか…等の成長課題のすり合わせが正しくできていないと、組織にとって望ましくない状態が長く続く可能性もあります。

 

人事評価制度をピカピカに刷新しても運用が宜しくないと、いつまでたっても制度の効果を発揮できません。恐れずコミュニケーションをとって、手を尽くしていくことが何より重要です。

 

 

 

執筆者

本阪 恵美 | 人事戦略研究所 コンサルタント

前職では、農業者・農業法人向け経営支援、新規就農支援・地方創生事業に8年従事。自社事業・官公庁等のプロジェクト企画・マネジメントを行い、農業界における経営力向上支援と担い手創出による産業活性化に向け注力した。業務に携わる中で「組織の制度作りを基軸に、密着した形で中小企業の成長を支援したい」という志を持ち、新経営サービスに入社。企業理念や、経営者の想いを尊重した人事コンサルティングを心がけている。