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【小田原】「評価が中心に集中すること」は悪いことなのか?

人事評価制度の運用において、人件費を考慮した最終的な評価の調整を多くの企業で行っているかと思います。

その中で、「評価ランクの分布割合をあらかじめ決めて、相対調整を行う」という手法を取っていない企業では、評価ランクが真ん中に集中するという現象が起きることがあります。この現象に対して、人事部の方々が問題意識を持たれるケースが多いように思いますが、果たして本当に問題と言えるのでしょうか。

 

先に結論を申し上げると、以下の通りです。

 

 ・実際の働きぶりに差があると言えるならば、
  評価ランクが真ん中に寄っていることは問題である

 

 ・実際の働きぶりに差がないならば、必ずしも問題とは言えない。
  むしろ、差がない所に無理やり差をつけると、不公平や不満が発生しうる

 

実際に働きぶりの実態を考慮することなく、評価が中心に集中しているという事象そのものに人事部の方が問題意識を持たれるケースは、過去のご支援先でもありました。このケースでは、現場の管理職の方々に、業務の実態や部下の方々の働きぶりをどう捉えているかといったことに関してヒアリングを行い、「差を無理やりつける必要はない」といった結論に至ました。このプロセスを通じて、人事の方も、自社での中心化が問題ないとの考えになっておられました。

なお、先ほど挙げた事例は製造業の企業での事例です。年数をかけて淡々と技能を習熟していくような製造業や建設業などでは、一般的に同様の傾向が見られやすいです。当然、個別の企業ごとに状況は変わってきますし、その中でも抜きんでた社員がいれば、それ相応の評価を行う必要があります。

 

適正な評価とは、社員間の働きぶりの差を適切に判断することだと思います。そして、社員間で発生する働きぶりの差は業種・規模など、各企業の状況によって変わってきます。この考え方を念頭に置いて、自社の運用状況を振り返ってみていただければと思います。

執筆者

小田原 豪司 | 人事戦略研究所 シニアコンサルタント

大学で経営学全般を学ぶなか、特に中小企業の「ヒトの問題」に疑問を感じ、新経営サービスの門をたたく。
企業の「目的達成のための人事制度構築」をモットーに、顧客企業にどっぷり入り込むカタチで人事制度策定を支援している。