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【小田原】絶対評価運用のコツ

評語(いわゆるSABCDといった処遇決定に使用する最終的な評価ランク)を決定する際の考え方として、大きく分けると「相対評価」と「絶対評価」があります。今回は「絶対評価」で運用する際のポイントについて整理します。

まず、本内容における絶対評価と相対評価は以下のように定義します。

 

【相対評価】

最終的な評語が一定の枠組み内に収まるよう、相対的な位置づけによって評価する方法。具体的には、「A評価は%、B評価は%・・・」というように評語の分布をあらかじめ決めておき、その枠にはめ込む方法や、平均評価がB以内に収まるように評語を決定する、などの方法がある。

 

【絶対評価】

定められた一定の基準に沿って各自の評語を決定する方法。基本的には所属する集団のレベルに左右されることはない。

 

評価と賃金を結びつけるルールがある会社であれば、人件費を調整するために、多くの企業では相対評価を採用しているように思います。

一方、全体の人数規模の小さい企業、管理職の人数が少ない等では、評語を一定の枠組み内に収めようとすると、実際にはほとんど差がない社員に対しても差をつける必要性が出てくるなど、実態に沿わない評価となってしまいがちです。そのため、全社的あるいは部分的に絶対評価を活用するケースも多くありますが、その際のポイントを3つ挙げます。

 

ポイント① 評語の定義を明確にする

絶対評価(のような評価)をしているにも関わらず、稀に定義の設定も行われていないケースもあります。当然ですが、絶対評価により決定するのであれば、決定にあたっての基準が必要です。一例を挙げると、以下のような形です。

 

 

なお、定義については、絶対評価である以上、なるべく詳細なものが好ましいでしょう。上記の例においては、各等級に何が求められるかについて、別途明確にしておく必要があります。

 

ポイント② 評価の分布を想定しておく

明確に評価分布を定めるわけではないものの、どの程度の分布を想定するかを事前に設定することをおすすめします。それをベースに、各評価者に対して各標語の重みのイメージを具体的に持ってもらうことで、運用が上手く行きやすくなるでしょう。

評価者が最終の評価結果から逆算して各評価点をつける「逆算化傾向」は一般的には悪い例として挙げられます。しかし、絶対評価で評語決定を行う場合は、上記のイメージを持ちつつ、一部、逆算することも是とした方が良いように思います。

 

ポイント③ 最終的な評価調整は確実に行う

絶対評価においては、相対評価以上に評価調整は重要になってきます。調整時は最低限、以下の点を入念にチェックしてください。

  ・決定した評語と実際の仕事ぶりに乖離がないか

  ・評価の序列が適切になっているか

  ・全体として評価が高すぎたり低すぎたりしていないか

なお、上記の1点目が頻繁に発生している場合、評価表や評語の定義を見直す必要性が考えられます。

 

いずれか1つでも欠けてしまっているが故に、絶対評価での運用に悩みを抱えている企業様が多いように感じます。今回の内容が自社での運用の参考になれば幸いです。

 

執筆者

小田原 豪司 | 人事戦略研究所 シニアコンサルタント

大学で経営学全般を学ぶなか、特に中小企業の「ヒトの問題」に疑問を感じ、新経営サービスの門をたたく。
企業の「目的達成のための人事制度構築」をモットーに、顧客企業にどっぷり入り込むカタチで人事制度策定を支援している。