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【小田原】“適正な評価”とは何か?

先日、ある企業様で人事評価制度を新たに導入する際に、評価者となる管理職の方々が「自分に適正な評価ができるのだろうか」ということをかなり不安がられていたケースがありました。最終的には評価者研修や社内調整を行うことで、不安を払拭できましたが、その過程の中で改めて整理した、私の考える「“適正な評価”とは何か?」ということについて述べていきたいと思います。

 

みなさんは人事評価における“適正な評価”とはどういったものだと思われますでしょうか。「評価者同士での目線が合っていること(=どの評価者が評価しても、同じ評価になること)」を思い浮かべる方は多いかもしれません。

 

しかし、これを実現するのは、語弊を恐れずに言うならば不可能です。なぜなら、人事評価を行うフローは、①評価事実の収集 ②評価項目と評価事実の照合 ③評価の決定 という3つのステップから構成されますが、この内の ③評価の決定 に関しては、判断(=主観)なしでは実施できず、判断軸の異なる人同士が100%合わせることは不可能であるためです。このことは、人の運命をも左右する裁判ですら、一審・二審・三審で判断が多々分かれることがあることからも分かるのではないでしょうか。どれだけ法律を細かく記載したとしても、数字でなく言語で表現されている以上は、判断を除くことは不可能です。

 

では、目指すべき“適正な評価”とはどういったものになるでしょうか。「どの評価者が評価しても同じになる評価」が実現不可能な以上、「評価を受ける本人に納得感があること」が目指すべき“適正な評価”と私は考えます。そこで、本人の納得感醸成のための3つのポイントについて述べていきます。

 

1つ目は、日常業務の観察です。納得感を得るためには、評価結果をフィードバックする必要があります。例えば、「顧客対応」という評価項目に対して、部下から評価の理由を尋ねられた際、「普段は概ね問題なくできているが、●カ月前に発生した顧客トラブルは会社への影響が大きく、それを踏まえて点数を1つ下げて2点にした」など、根拠となる事実を伝えることで、納得感を得やすくなります。 

 

2つ目は、信頼関係の構築です。部下から「この人には評価されたくない」と思われてしまっては、どれだけ日常業務の観察をした上で評価をしたとしても部下からの納得を得るのは困難です。そういった意味では、「フィードバック面談でどのように伝えるか」よりも、「日常のコミュニケーションでいかに信頼関係を構築するか」のほうが重要度は高いでしょう。

 

3つ目は、冒頭にお伝えしたことと逆ともいえますが、「評価者同士である程度目線を合わせること」です。既述の通り、目線を“完全に”合わせることは不可能(目線が合っているかの判断を完璧に行うことも厳密には不可能)ですが、1~5点の段階の評価のうち、「ある評価者の下では4点だが、別の評価者の下だと1点」といった事態は避けたいものです。防止策としては、「評価者研修の実施」「評価調整会議を徹底的に行う」などがあります。評価調整会議で議論になったポイントを、事例集として残していくことで、今後の判断軸としても活用できるでしょう。

 

「適正な評価」に向けてできることを正しく認識し、それに対して十分な取り組みを行うことが重要となります。今回の観点が参考になれば幸いです。

 

執筆者

小田原 豪司 | 人事戦略研究所 シニアコンサルタント

大学で経営学全般を学ぶなか、特に中小企業の「ヒトの問題」に疑問を感じ、新経営サービスの門をたたく。
企業の「目的達成のための人事制度構築」をモットーに、顧客企業にどっぷり入り込むカタチで人事制度策定を支援している。