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【岸本】あえてセオリーを外す②

(前回を見ていない方は、まず「あえてセオリーを外す①」をご覧ください)

今回は、セオリーを外す場合の留意点をお伝えします。留意点は以下の2点と考えます。

 

Ⅰ.セオリーは無視しない

 前回のA社の事例では、セオリーを無視しているわけではありません。「人事評価は仕事面を対象に行う」というセオリーを押さえた上で、あえてセオリーを外しています。

セオリーとは課題解決策の王道ですので、まずはセオリー通りに解決を模索することが課題解決のあるべき姿です。その上で、セオリー通りでは解決できないと判断した場合に限り、別の方向からのアプローチが必要となるでしょう。セオリーを無視するだけでは、単なる“奇をてらった”手法です。

 

Ⅱ.デメリットを考慮する

 セオリーを外すと、相応のデメリットが生じます。例えば、A社の社長は、ボランティアなどの社会貢献活動に参加したかどうかも評価項目にしたいと考えられていました。ただし、評価項目の一つにすると優劣をつけることになり、参加しない社員の評価は低くなります。ボランティアに参加したかどうかは、仕事とは無関係な評価項目です。したがって、低い評価がつく社員からすると、不満を持つかもしれません。セオリーを外す場合は、このようなデメリットが発生しないように、回避策を必ず検討するようにしてください。 

 

 ここまで2回に分けて、あえてセオリーを外す解決策に関して考えてきました。このような選択をとることは、人事制度全体の中で多くとも12つになろうかと思います。基本はセオリー通りで対応できるものばかりです。ただ、その12つの選択が人事制度のオリジナリティーを出す重要な要素だと考えます。参考にしてみてください。

執筆者

岸本 耕平 | 人事戦略研究所 シニアコンサルタント

「理想をカタチにするコンサルティング」をモットーに、中堅・中小企業の人事評価・賃金制度構築に従事している。見えない人事課題を定量的な分析手法により炙り出す論理的・理論的な制度設計手法に定評がある。