人事制度のつくり方

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【岸本】あえてセオリーを外す①

人事制度の設計に関する知識は、雑誌やネット記事、書籍で簡単に入手できる時代になりました。雑誌やネット記事、書籍には、人事制度作りの“セオリー”が書かれていますが、実際のコンサルティングの場面では、あえてセオリーを外した解決策をとることもあります。今回は、セオリーを外して課題解決を行った事例を紹介します。

 

事例:仕事以外の要素も人事評価の対象としたA

A社の社長は、「仕事面での成長だけでなく、人間としての成長」も社員に期待したいという強い想いを持たれ、日ごろから自己啓発やボランティアなどの社会貢献活動に積極的に取り組むことを社員に推奨されていた。そして、人事評価にも各自がどれくらい取り組んだかを評価対象にしたいと考えられていたが、実現にあたって以下のような懸念をもたれていた。

 

 (1)人事評価は、あくまでも仕事にかかわる内容を評価対象とすべきではないか

 (2)仮に、評価対象としたとしても、社員一人ひとりの志向を無視して、取り組みがなかった場合、評価を低くつけてもよいのか

 

 社長の想いを実現するため、以下のようなアプローチを行った。

 

 (1)仕事にかかわる内容を評価対象に100点満点の人事評価表を作る

 (2)加えて、自己啓発などの取り組みを「社長裁量項目」という名目で評価を行う

 (3)評価は社長の裁量で行うが、減点はせず加点のみとする

 

上記事例は、仕事に関わる内容以外も評価対象となっていますので、人事制度作りのセオリーとは言えません。ただ、人事制度は経営者の想いや企業の課題解決のツールであると、私は考えています。セオリーに固執して、それらが実現できないのは本末転倒です。時には、セオリーをあえて外すこともあってよいと考えています。とはいえ、セオリーを外すにも押さえておくべき留意点がいくつかあります。次回は、この留意点について考えていきたいと思います。

執筆者

岸本 耕平 | 人事戦略研究所 シニアコンサルタント

「理想をカタチにするコンサルティング」をモットーに、中堅・中小企業の人事評価・賃金制度構築に従事している。見えない人事課題を定量的な分析手法により炙り出す論理的・理論的な制度設計手法に定評がある。