【森谷】中小企業における「ジョブ型人事制度」⑤
前々回は、ジョブ型人事制度の定義を確認するとともに、そのデメリットに焦点を当ててお話ししました。
そして前回は、職務記述書(ジョブディスクリプション)の側面で、いかにジョブ型人事制度を実現させるかをお話ししましたので、今回はジョブ型人事制度の報酬決定をテーマにしてみたいと思います。
================前々回の再掲================
■報酬決定において、その測定の難しさがあり、また社員に不公平感が生じやすい。
・人事異動により賃金が変わる。
・たまたま配属された部署でキャリア形成を行った結果、社員の賃金水準に差が生じてしまう。
・賃金水準の市場価値を測定するのが難しい。 等
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現実問題、職種別に市場価値というものがあり、職種・職務が違えば賃金水準は異なり、有名どころで言えば、医師やパイロットの年収が高いことは周知の事実だと思います。
こういった特殊例外の職務を除いても、職種間で賃金差があることを何となく認識しています。
分かりやすいところで、文系出身者と理系出身者に年収差があるというデータは多くでています。
(文系出身・理系出身により、大枠で就く職種・職務が異なります)
また、厚生労働省のデータを見てみても、賃金水準は職種間で大きな開きがあります。
「令和2年賃金構造基本統計調査」(e-Stat 政府統計の総合窓口)
一般的なメーカーに存在する職種を考えると、開発・技術職を10とすれば、営業職は9、製造・事務職は8といったところでしょうか。
以上を踏まえると、賃金水準の市場価値の測定は、大まかであれば何とかなりそうです。
採用活動をしていると、同業他社を辞めた求職者が来ることも多いと思いますが、その求職者の年収を聞いて情報を蓄積しておけば、かなり精度の高いデータを作ることもできます。
ですので、ジョブ型の報酬制度で問題になるのは、市場価値の測定よりも、「配属・異動により賃金水準が変わってしまうことへの抵抗感」といったところでしょうか。
(次回に続きます)