【森谷】第12回:年齢給の使い方(1)
企業の基本給を設計する際、「年齢」「能力」「役割」「職務」等の中から選択してコンセプトを設定します。
年齢給は下火であり、能力給はいまだに根強く、役割給は増えてきており、同一労働同一賃金を見据えて職務給にチャレンジする企業が出てきている、といったところでしょうか。
基本給を考える際、念のため全ての選択肢をご紹介するようにしています。
すると、「いまどき年齢給なんて…」という意見が圧倒的に多いのですが、それが覆り、敢えて年齢給にシフトした企業の事例を2社、ご紹介します。
1社目は下町の製造業(社員数150名)です。
①高卒の新卒採用がメインであるため、安定的に給与が上がるという安心感を与え、採用強化につなげたい(実力主義を強く打ち出したくない)
②製造ラインで働く社員の能力評価が難しく、どのみち年功的にある程度は習熟していく仕事である(無理やり評価をして不満を増長したくない)
③せっかく縁があり入社した社員に対して、最低限の生活保障をしたい、という社長の方針がある(経営理念と不整合な制度にしたくない)
といった理由からでした。
もちろん、“じっぱひとからげ”の評価では優秀者のモチベーションダウンを招きますので、頭一つ抜けた社員には特別な処遇ができる制度も併用しました。
(第13回に続きます)