考課者のお悩み解決① 同じ職場にいない部下の評価のコツ
考課者にとって、部下の成果や行動を正しく評価することは重要な役割です。公平・公正に評価しようとすればするほど、悩まれることも多いのではないでしょうか。
よくあるお悩みのひとつとして、部下との間に物理的な距離がある場合にどのように評価を行えばよいのかというものが挙げられます。例えば、建設業における現場管理者・作業員、多店舗展開する小売店の店長、客先常駐型のSEなどがこれに該当するでしょう。今回はこのような状況に対処し、評価を行うコツをご紹介します。
1.目標(KPI・KGI)の設定
1つ目の方法としては、KPI・KGIによる部下の行動・業績や成果を数値で客観的に評価する方法です。部下の業務内でKPIやKGIの指標を設定し、その実行度合いや達成状況によって評価を行います。KPI・KGIとしてどのような要素を採用するかは様々ですが、例えば営業職のKPIでは営業日報の提出状況や顧客とのアポイント件数など成果に繋がる行動を設定し、KGIでは受注額などの成果自体を設定します。このように目標(KPI・KGI)を設定することでどの程度取り組めているか客観的な評価を行うことができます。これは目標管理制度を導入している企業であれば、テーマの種類や内容についてより重要な評価指標であるかを確認してみてください。また、目標管理制度が無い場合であっても、何か業務上の目標を設定して、上司と部下とで協働することは可能ですので、今回のようなコミュニケーションが取りにくい状況であれば工数を惜しんでも実施することが評価のしやすさに繋がるでしょう。
2.業務実施状況を把握する為のコミュニケーション
日々の業務姿勢などが見えにくい状況においては、部下との間に先述の目標やテーマを設定し、フィードバックを丁寧に行うことが部下を評価する上では有効な手段の一つです。目標を部下と共有し、月次や四半期などの定期的なフィードバック面談を設定し、進捗状況を確認します。また、フィードバックを行うことで、部下がフィードバックに対してどのように取組んだかを達成度から判断することができます。このようにして単に目標を設定するだけでなく、その過程においてコミュニケーション(進捗確認・フィードバック)をしっかりと実施することで部下を評価する為の評価事実を収集することができます。
3.リモートコミュニケーションツールの活用
最後は純粋に部下とのコミュニケーション回数を増やす方法です。ビデオ会議、チャット、電子メールなどのリモートコミュニケーションツールを積極的に活用することで、対面で接する機会が少なくともコミュニケーションの質や量を補填することが可能です。定期的なチームミーティングや1on1のオンライン面談などを通じて、部下とのコミュニケーション回数を増やし、評価に必要となる評価事実の収集を行うことで、人事評価がやりやすくなります。
今回ご紹介した内容は新型コロナウイルスの流行に伴い、リモートワークが進み、対面でのコミュニケーションが減少している現代の状況にも活用することができます。これらの方法を組み合わせて、評価に向けた過程を充実させることで、リモートワーク環境や物理的な距離があっても、部下の評価を効果的に行うことができます。
様々な状況下で評価をすることが求められる考課者については、考課者自身もまた工夫や変化が必要とされており、是非今回の内容を参考にして頂ければと思います。