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【岡本】人を育てる4つのポイント

人材育成について、

 ・その必要性を感じているが、何から始めればいいかわからない...

 ・育てているつもりだが、なかなか育たない...

などの悩みや問題を抱えている企業は多いのではないでしょうか。

 

今回は、人を育てる4つのポイントについて、植物が育つ要素にたとえながらご紹介したいと思います。

 

4つのポイントとは、

 ①経験の機会「土」

 ②助言・フィードバックの機会「水」

 ③研修の機会「肥料」

 ④目指す方向性「光」

です。

 

①経験の機会「土」

“植物を育てるには良い土をつくるところから”と言われるように、“人を育てるにはよい環境をつくること”が大切です。ここでの良い環境とは経験の機会に恵まれている状態です。 社会人の学習に影響を与える要因として、70:20:10の法則(70%が直接経験、20%が他者の観察やアドバイス、10%が読書・研修というもの)と言われるように、どのような経験をさせるかが、人を育てる際の第一条件となります。

日常的な業務自体が経験の機会となりますが、より良い経験の機会にするためには、育成対象者のスキルレベルや課題感を把握し、少し背伸びをすればできそうなストレッチな経験を意図的に与えることが重要です。これを怠るとマンネリ化してしまい、なかなか人が育たない環境となってしまいます。

 

②助言・フィードバックの機会「水」

周囲や上司からの助言・フィードバックは、自分では気づけない、知らないことを知ることにつながり、人を育てるための必須要件(70:20:10の法則の20に該当)と言えます。

いわば、植物にとっての“水”のようなものだといえると思います。水は、植物にとって必要不可欠です。しかし、水が足りていないことはもちろん、あげすぎても根が腐ってしまいます。植物によっても、その加減は異なってきます。

同じように、助言・フィードバックがまったく無いことはもちろん、手取り足取り助言・フィードバックし過ぎることも逆効果になってしまうことがあります。また、相手の性格や理解度合い、あるいは相手がいま受け入れるタイミングにあるかなどにも留意しないと、理解されない・聞き流されてしまうといったことにもなり兼ねません。育てる側は、適切なタイミングで、適切に助言・フィードバックするスキルを身につける必要があります。

 

③研修の機会「肥料」

人を育てるために必要なもう一つのポイントは研修の機会です。不足している栄養等に対して肥料を与え補填することで植物の成長を促進することができるように、人材育成において研修の機会(70:20:10の法則の10に該当)は肥料のような効果があると言えます。

先の①②にで得られるものは大きいですが必要な知識や経験をすべて網羅しているわけではありません。足りない要素を補填する為に研修の機会を設けることで、自らの成長に足りていない知識や経験を得られます。また、研修は必要とする知識やスキルを体系的に学ぶことができるというメリットもあります。

 

④目指す方向性「光」

植物は光の方向に向かって伸びていきます。人を育てるには先の3つの機会が必要ですが、育つ(成長する)方向性を示してあげることが肝要です。まず上司が一人一人の部下に対して将来のキャリアビジョンを擦り合せたり、成長していくための課題を明確にしたりするためにしっかりと対話することが重要です。

さらに、人事制度を整備することで、会社として求める人物像を示すことができます。人事制度においては、等級制度で階層や職種毎に求める人物像をかみ砕き、能力や役割を明確にし、等級基準で示すことができます。また、評価制度においては評価項目を等級基準とリンクさせることで、より社員へ目指す方向性(求める人物像)を意識させることができます。

 

 

さて、今回は人材育成において影響する要素を植物に置き換えてご紹介しましたがいかがだったでしょうか。各要素が人材育成においてどのように影響するかを理解して頂けたのではないでしょうか。まずはそれぞれの要素について自社の状況を把握して頂き、十分な施策を打つことができているかを確認することで、人材育成を促進するために必要な対策が見えてくるでしょう。

 

執筆者

岡本 充裕 | 人事戦略研究所 コンサルタント

前職では、製造業にて経理・採用・制度企画などに7年間従事。組織の抱える悩みや課題を解決する事の難しさを痛感するとともに、組織創りの遣り甲斐を感じた。この経験を活かして、より多くの企業に対して支援をしたい想いから、新経営サービスへ入社。コンサルティングを通して、経営者の『抱える問題を解決する』『夢を叶える』為の力になりたいという熱い想いを胸に、経営者と二人三脚で歩む人事コンサルティングを心掛けている。