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【小田原】これからの時代の人材確保の在り方を踏まえた人事制度策定①

皆さんご存じの通り、日本の少子高齢化は進む一方で、労働力人口はますます減少していく見込みです。間違いなく人材確保は企業存続のための重要課題の1つになりますが、これからの時代の人材確保の在り方は、改めて考えなければ、この状況下で十分な採用ができないかもしれません。

 

人材確保にあたっては、近年の人材の志向を知っておく必要があります。以下は、新入社員を対象とした、仕事とプライベートに関するアンケート調査結果です。

 

引用:新入社員の63%「仕事よりもプライベート優先」- ITmedia ビジネスオンライン  
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/1804/26/news090.html

 

この結果から、仕事よりもプライベートを優先したいという人の割合が、年々増加していることが分かります。労働人口の減少と相まって、「仕事にバリバリ取り組む優秀な人材」を確保することが、より難しくなっていくことが想定されます。

このような状況においては、「優秀な人材をとにかくたくさん確保する」というのは現実的に難しくなってきます(優秀人材にはそれ相応の報酬を支払う必要があるため、人件費的な観点からも難しい)。

 

そこで、「どのような人材が、どのくらい必要か」を考えてみましょう。それに際しては、2つの任意の軸で人材の区分を考える「人材ポートフォリオ」で人材の整理を行うと、検討が進みやすくなります。一例として、以下のような切り口があります。

 

 

 

「どれくらい必要か」(表中の%にあたる部分)を考えるにあたっては、「パレートの法則(28の法則)」が参考になります。これは、全体を構成する2割の要素が大部分を占める8割を生み出しているという法則です。この法則に基づけば、「優秀な上位2割の人材で、会社の成果につながる要素を8割満たす動きをしている」ということも考えられます。ゆえに、自社の上位20%の人材を、非常に優秀な人材で充実させることを意識してみると良いでしょう。なお、上記ポートフォリオについては、職種別に設定すると、より具体的な検討ができます。

 

「どのような人材が必要か」を明確にできれば、それぞれの人材がどのような志向を持つ傾向にあるのかを考えてみます。以下の例では、先ほどのポートフォリオリオを活かしつつ、3つの区分に分類して、人材の志向を検討しています。

 

 

人材ポートフォリオや、各人材の想定される志向が整理できれば、それぞれの志向を満たせるような施策を検討していきます。オーソドックスな対応方針としては、「③のような人材に対しては、仕事や時間の制限を設けてプライベート重視の志向を充足できる環境を用意する代わりに、やや賃金を低めに設定する」「左記で浮いた原資を①・②のような人材の処遇へと回し、より優秀な社員の確保・定着に活用する」ということが考えられます。

以上のような方向性での具体的な人事制度への落とし込み方については、次回、解説いたします。

 

執筆者

小田原 豪司 | 人事戦略研究所 シニアコンサルタント

大学で経営学全般を学ぶなか、特に中小企業の「ヒトの問題」に疑問を感じ、新経営サービスの門をたたく。
企業の「目的達成のための人事制度構築」をモットーに、顧客企業にどっぷり入り込むカタチで人事制度策定を支援している。