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【森谷】中小企業における「ジョブ型人事制度」④

前回は、ジョブ型人事制度の定義を確認するとともに、

そのデメリットに焦点を当ててお話ししました。

デメリットを際立たせはしたものの、筆者はジョブ型人事制度に賛成の立場です。

どのような人事制度に仕立てていくのがよいかを考えてみたいと思います。

 

最初のハードルが職務記述書(ジョブディスクリプション)です。

職務記述書の存在意義は、社員が果たすべき仕事を詳細に定義することです。

ただし、ルーティン業務がメインである一部の職種を除いて、

ほとんどの社員は毎年ミッション・職務が異なります。

 

そのたびに職務記述書を書き換えるのでしょうか?

また、職務が変わるたびに給与を変えるのでしょうか?

 

繰り返しますが、職務記述書の役割は、社員が果たすべき仕事を明確にすることです。

概ね、下記の2段構えで考えていけばよいと考えます。

 

①比較的、毎年変化の無い・少ない仕事、普遍的な仕事は、

等級基準書として記載する。

そこには、職務面も、能力面も、役割面も、行動面も記載があってよい。

ただし、仕事内容を問わず共通で記載すれば表現が曖昧になるため、

職種ごとに特徴的な要素は職種別に要件を記述する。

(例)コミュニケーション面の記述にあたり、営業は対顧客コミュニケーション、

事務は対社内コミュニケーションとなり、求められる内容・レベルは異なる

 

②毎年、変化の大きい仕事は、目標管理制度(MBO)で記載する。

ただし、多くの企業でそれは上手くいっていないため、

(1) ピックアップすべき目標が正しいか、

(2) それは等級レベルに応じた目標になっているか、

(3) 何をもって達成とするか。また、どうやって5段階の評価に振り分けるか

について、徹底して検証や教育を行う。

 

==========前回ブログの再掲==========

■職務記述書を作成・メンテナンス・運用することが非常に煩雑である。

・そもそも、日本にその文化がなく、作成するのが難しい。

・組織再編等の度にメンテナンスする必要がある。

・社員がその職務(=評価の対象となる仕事)しかしなくなる。 等

=============================

 

精度の高い目標設定ができない企業に、職務記述書の作成は無理でしょう。

まずは設定目標や評価の精度を上げていくべきではないでしょうか。

 

過度なメンテナンスの必要がないものとして、

既に等級基準書(等級定義書、等級要件書 等)があります。

もし、等級基準書が何のために存在するのか曖昧になっているなら、

教育、昇格判定、評価に活用できるレベルに昇華させてはどうでしょうか。

そのためには、「職種別」の観点が入ればよいと思います。

 

等級基準書を職務・能力・役割・行動など多面的に表現しておけば、

社員が特定の仕事しかやらなくなるといった現象は起きないでしょう。

管理者がキチンと解釈し、運用していけばよいと考えます。

 

結論として、従来の日本の人事制度をキチンとブラッシュアップしていけば、

それがジョブ型になるという事です。

一般的に言われるジョブ型ではないですが、十分にジョブ型の機能を果たしうる、

ということから筆者は「半ジョブ型」という表現を使っています。

執筆者

森谷 克也 | 人事戦略研究所 所長

企業の成長を下支えする人事戦略の策定・活用が図れるよう、
経営計画・人事システム・人材育成を一連で考える
人事戦略コンサルタントとして実績を積んでいる。
企業支援においては、①企業風土(社風、経営理念など)を大切にすること、
②中期的視点(業界環境、管理者レベル等)を持つこと、
③そして何よりシンプルで分かりやすいことをモットーとしている。