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【小田原】実力主義・成果主義のために「ジョブ型人事制度」が必要か?

最近、「ジョブ型」という言葉が世間でよく言われるようになってきました。そうした背景もあり、「ジョブ型人事制度にした方が良いだろうか?」といったご相談をよく受けます。

 

この際、私は「なぜジョブ型である必要性を感じているのか」を必ず確認しています。深堀りして聞いていくと、「実現したいのは仕事の実力や負荷に対して公正な評価・報酬としていきたい」ということであり、ジョブ型の人事制度でなくとも、目的は達成できるという結論に至ることが多くあります。

 

確かに、上記の目的に対して、ジョブ型の人事制度も1つの手段ではあるものの、概念の曖昧さ・運用難度の高さがあり、導入のハードルは高くなりがちです。そこで、それ以外の道をまずは優先的に模索していくと良いでしょう。

 

公正な報酬決定のためには、そのベースとなる「評価制度」が何よりも重要となります。公正な評価となっていないケースの多くには、全体的に甘い評価をつけてしまう傾向が見られます。これにより、「人件費が高騰する」もしくは「本来、より多く配分したいハイパフォーマーに人件費を回せない」ということになります。

 

甘い評価となってしまう場合によくある原因の1つは、評価基準が曖昧であることです。曖昧な評価基準は、上司が、部下から低評価の理由についての説明を求められた際、十分な説明をできない恐れを持つ要因となり、結果、甘い評価をつけてしまいます。

 

評価基準がある程度具体的な内容であれば、客観性が増し、評価者も自信をもって評価の高低をつけやすくなります。評価基準を具体化していく上では、「職種別に人事評価表をつくる」ということも考えられます。弊社では、20年以上前から「職種別の人事評価表」という手法を確立していますが、職能等級・役割等級のいずれの制度がベースであっても、年功要素の低減には寄与できているとの実感があります(ある意味、部分的なジョブ型の人事制度、とも言えるかもしれません)。職種別の評価表サンプルは弊社のHP(以下)にも掲載しており、よろしければご参考ください。

https://jinji.jp/samplesheet/sheet01.php

執筆者

小田原 豪司 | 人事戦略研究所 シニアコンサルタント

大学で経営学全般を学ぶなか、特に中小企業の「ヒトの問題」に疑問を感じ、新経営サービスの門をたたく。
企業の「目的達成のための人事制度構築」をモットーに、顧客企業にどっぷり入り込むカタチで人事制度策定を支援している。