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【森谷】中小企業における「ジョブ型人事制度」②

今回はジョブ型を考察してみます。

 

私は人事制度を生業にしていますので、専ら「ジョブ型人事制度」という言葉をよく使いますが、一般的には「ジョブ型雇用」という言葉になろうかと思います。

多くの場合、「メンバーシップ型雇用」と比較されて述べられていることが多いようです。試しに、「ジョブ型」というワードで画像検索してみてください。検索上位表示は殆ど両者の対比表となっています。

改めてその対比を記述するのはスペースの無駄ですので、読者が検索されたのを前提にお話します。

 

・・・ (検索お願いします) ・・・

 

感想はいかがでしょうか。

昨今は“ジョブ型推し”ですので、メンバーシップ型に問題があるように見えるかもしれませんが、私見では「メンバーシップ型は曖昧だが柔軟」「ジョブ型は明確だが融通が利かない」といった感想を持ちました。

 

ただ強い違和感を覚えます。

例えば、メンバーシップ型の特徴は「ゼネラリスト」「新卒一括採用」「終身雇用」「職能給」「異動・転勤を拒否できない」等が並び、ジョブ型はその逆だと表現されていますが、メンバーシップ型でもスペシャリストを育てますし、職能給ではなく役割給を採用している企業もありますし、異動・転勤しなくてよい限定社員制度を設けている企業も多くあります。

 

こんな二極化された表現で本当にいいのでしょうか?

もっと言えば、この両者はトレードオフの関係にあるのでしょうか?

 

昨今、リモートワークの浸透により、社員の仕事状況が見えない → やってもらう仕事を明確にする必要がある → ジョブ型、という流れになっていようかと存じます。そういう意味で、ジョブ型は必要な要素です。

ただ一方で、「社員が自分に割り当てられた仕事以外をやろうとしない」といった問題を企業人事の場でよく耳にします。この一面を取ると、ジョブ型はこの問題を助長する仕組みと言えます。

 

私見ですが、企業の雇用制度は柔軟であるべきで、良いとこ取りのハイブリッド型が最も適していると考えています。白黒つけず、敢えてグレーが機能するという一面もあります。もちろん、運用力が大切になりますが。

企業課題や業種、成長ステージ、経営者の考え等を総合的に加味し、どんな仕組みが自社に最も適しているかをご判断ください。

 

次回以降、ジョブ型の問題点を考えるとともに、中小企業で必要なジョブ型人事制度について述べたいと思います。

執筆者

森谷 克也 | 人事戦略研究所 所長

企業の成長を下支えする人事戦略の策定・活用が図れるよう、
経営計画・人事システム・人材育成を一連で考える
人事戦略コンサルタントとして実績を積んでいる。
企業支援においては、①企業風土(社風、経営理念など)を大切にすること、
②中期的視点(業界環境、管理者レベル等)を持つこと、
③そして何よりシンプルで分かりやすいことをモットーとしている。