【森中】人手不足を円満解決現状分析から始めるシニア再雇用・定年延長
拙著『人手不足を円満解決現状分析から始めるシニア再雇用・定年延長』が、2020年9月17日に第一法規から出版されました(https://www.amazon.co.jp/dp/447406965X)。
そこで、今回は通常のブログと異なり、書籍の紹介をさせていただきます。
2021年4月の高年法改正を控え、多くの企業において自社の高年齢社員・シニア活用の議論が本格的に進んでいます。人事制度の見直しも当然議論の候補に上がりますが、検討を開始したものの、どのように進めていくべきか苦慮している企業が少なくありません。
まずは、シニア活用における自社の現状を詳細に分析し、経営陣で課題抽出と将来的なシニア活用の方向性について議論を急ぐ必要があります。方向性を共有することができれば、人事制度の見直しに関しても一気に進めることができますが、どのように自社の立ち位置を明確にすればよいのかという手法、あるいは他社ではどのような人事制度改定が行われているのかといった事例、そうした情報に乏しいのが多くの企業の実情ではないでしょうか。
本書の構成は以下のようになっています。
第1章 人手不足対策としてのシニア活用 企業におけるシニア活用の必要性 企業の雇用確保義務年齢はいよいよ70歳へ 本書の狙いと目的
第2章 自社の「現状分析」をしてみよう なぜ、シニアの活用が進まないのか 外部環境の変化で高まるシニア活用のニーズ 現状分析・方針策定の進め方―人員分析 現状分析・方針策定の進め方―賃金・人件費分析 現状分析・方針策定の進め方─シニアの環境分析 現状分析・方針策定の進め方─スタンスの確定
第3章 シニア社員の活躍を引き出す人事制度の設計方法 継続雇用制度の設計ポイント①─「限定活用型」に沿った制度設計 継続雇用制度の設計ポイント②─「柔軟活用型」および「生涯現役型」に沿った制度設計 定年延長制度の設計ポイント
第4章 60歳定年─継続雇用制度の改革事例 本書における企業事例の位置づけ 事例 1 A社 事例 2 B社 事例 3 C社
第5章 60歳以上への定年延長制度の改革事例 事例 1 大和ハウス工業株式会社 事例 2 明治安田生命保険相互会社 事例 3 D社
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第1章では統計データを中心に、大企業から中堅中小企業まで、様々な業種・業態の企業が、シニア活用の問題にどのように取り組んでいるかを明確にしています。本章を確認することで、例えば60歳以上への定年延長を行った企業ではどのような体系で人事制度改定を行ったのか(賃金を下げているのか下げていないのか)、といった興味深い傾向を知ることができるでしょう。
第2章では、シニア活用をどのように進めていくかについて、自社の現状分析の方法を順を追って詳細に説明しています。本章で紹介している手法を用いることで、自社におけるシニア活用の青写真を描くことができるでしょう。
第3章では、シニア活用の方針に沿った、具体的な人事制度改定の進め方について解説しています。シニア活用をどの程度推進していきたいか、といった企業ごとのスタンス、必要性に応じて最適な方法を提案しています。世間の傾向に流されることなく、自社の実態に合わせて無理の無い形で人事制度改定を行っていくことが肝要です。
第4章、第5章では、具体的なシニア活用に向けた人事制度改定の事例を詳細に解説しています。大企業の事例から中堅中小企業の事例まで幅広く扱っており、また単に人事制度の内容を紹介するのではなく、本書の主題である、現状分析の結果から方針策定に至るプロセスについても詳しく触れています。自社の課題に近い事例を見つけていただくことで、擬似的な制度改定プロセスを体験することができるでしょう。
全体として平易な表現とし、実務の入門書として活用いただけるようにしました。特にこれからシニア活用に関して議論をスタートされる企業の経営者、幹部、人事担当者の方にお勧めしたい内容です。