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【小田原】テレワーク導入に伴う人事評価制度の注意点

昨今の新型コロナウイルス拡大の影響により、筆者のご支援先の企業様でもテレワークの導入・拡大が進んでいます。それに伴い、「直接顔を合わせる機会が減り、プロセスを把握しにくくなる。そのため、成果などの目に見えるものを評価した方がよいか」といった主旨のご相談を受けることが多くなりました。

 

この質問への回答を考えるにあたり、営業職を例に考えてみます。売上実績のあがらない部下がいた場合、上司からは「活動量(顧客との接触回数)が足りないため、訪問計画を見直そう」「商品説明が上手くできていないから、まずは持参資料を改善しよう」などと言った、一定の具体性を持たせたアドバイスが必要です。これらのためには、プロセスの把握は必要不可欠です。以上を踏まえると、「“プロセスを把握できないから”という理由で、人事評価の内容を変えるべきではない」というのが筆者の意見です。

 

そこで、テレワークにおけるプロセス把握に必要なことを述べていきます。まず、上司に求められることは、部下の仕事ぶり・プロセスが分かる情報を意識的に取りに行くことです。具体的には、「会議や営業訪問の場面などの具体的な節目を設定し、意識的に観察できる機会をつくる」「上司以外で接点の多い人から部下の情報を取る」「部下の作成物などの具体的なアウトプットの観察および本人への作成の手順・方法、苦戦した事項などの確認を行う」などにより、プロセスを把握できるでしょう。

 

次に、部下に求められることは、報連相がより重要になることを理解することです。極端に言えば、「報連相をしないことは、仕事をしないことと同義である」くらいの意識を持つ必要があります。例えば、「トラブルへの対応による通常業務の遅滞」があったとします。上司への報告・相談を行わなかった場合、その対応にどれほどの必要性があったとしても、上司からは「納期通りに仕事を進める力がない」「責任感がない」といった評価をテレワークでは受けてしまうことになります。出社して業務を行う場合では、トラブル対応を行っている様子が上司も直接見られていましたが、テレワークではそうはいかないということを部下は肝に銘じる必要があります。

 

安易に人事評価の内容を変えるのではく、まずは上司・部下の意識の改革に取り組むことが重要になってくるでしょう。

執筆者

小田原 豪司 | 人事戦略研究所 シニアコンサルタント

大学で経営学全般を学ぶなか、特に中小企業の「ヒトの問題」に疑問を感じ、新経営サービスの門をたたく。
企業の「目的達成のための人事制度構築」をモットーに、顧客企業にどっぷり入り込むカタチで人事制度策定を支援している。