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同一労働同一賃金の判断は、裁判官次第?

2017年9月14日、東京地裁で注目の判決が出ました。

日本郵便の契約社員3人が、正社員との間で手当などに格差があるのは違法だとして起こした裁判。原告が主張していた外務業務手当、年末年始勤務手当、早出勤務手当、祝日休、夏期年末手当、住居手当、夏期冬期休暇、病気休暇、夜間特別勤務手当、郵便外務・内務業務精通手当のうち、「年末年始勤務手当」「住居手当」「夏期冬期休暇」「病気休暇」を認め、その一部の金額について支払いを命じたのです。

正社員と非正規社員の労働条件の相違は「職務内容などを考慮して不合理であってはならない」という労働契約法20条に沿った判断ということです。一方で、不合理でない相違は許容されるとして、「早出勤務手当」や「祝日休」「夏期年末手当」「夜間特別勤務手当」などについては却下されました。

 

また、2016年5月13日には、同じく東京地裁で、定年後再雇用の賃金格差に対する違法判決が出て、話題を呼びました。

横浜市の運送会社で、定年再雇用された嘱託社員のトラック運転手3人が、同じ仕事をしているのに年収が2~3割下がったのはおかしい、と訴えた裁判です。裁判所は、「業務内容が同じなのに賃金が異なるのは不合理」として、正社員との賃金の差額を支払うよう運送会社に命じました。この時も、正社員と非正社員の不合理な待遇の違いを禁じた労働契約法に違反するという判断でした。

ただし、2016年11月2日の控訴審で、東京高裁は、「定年後に賃金が引き下げられることは社会的に受け入れられており、一定の合理性がある」として、一審の判決を覆しています。

 

さて、同一労働同一賃金の法制化はこれから本番です。しかし、現在の法律においても、正社員と非正規社員の待遇格差が合理的でないと判断されれば、違法性が問われることになるということです。

しかも、裁判官の判断によって、結果が大きく異なりそうな点が不気味に感じます。

日本郵便のケースでは、なぜ「夏期年末手当」の有無はOKだけど、「年末年始勤務手当」はダメなのか?

横浜の運送会社のケースでは、定年再雇用後に2~3割の賃金ダウンが、なぜ東京地裁ではダメだけど、東京高裁はOKなのか?

 

これから同一労働同一賃金が法制化されると、正規・非正規の待遇差をテーマにした訴訟が増えていくでしょう。どこまで細かく法律に記載するのか、現時点ではわかりませんが、おそらく「合理的かどうか」といった表現にならざるを得ないと思います。

すると、「この両者は同一労働と言えるのか」「この手当項目の違いは不合理ではないのか」「この金額差は許容範囲なのか」といった判決の内容が、その都度論争を巻き起こすでしょう。

裁判官の方々にとっても、難しい判断を求められることになりそうです。