実力主義・成果主義のために「ジョブ型人事制度」が必要か?
最近、「ジョブ型」という言葉が世間でよく言われるようになってきました。そうした背景もあり、「ジョブ型人事制度にした方が良いだろうか?」といったご相談をよく受けます。
この際、私は「なぜジョブ型である必要性を感じているのか」を必ず確認しています。深堀りして聞いていくと、「実現したいのは仕事の実力や負荷に対して公正な評価・報酬としていきたい」ということであり、ジョブ型の人事制度でなくとも、目的は達成できるという結論に至ることが多くあります。
確かに、上記の目的に対して、ジョブ型の人事制度も1つの手段ではあるものの、概念の曖昧さ・運用難度の高さがあり、導入のハードルは高くなりがちです。そこで、それ以外の道をまずは優先的に模索していくと良いでしょう。
公正な報酬決定のためには、そのベースとなる「評価制度」が何よりも重要となります。公正な評価となっていないケースの多くには、全体的に甘い評価をつけてしまう傾向が見られます。これにより、「人件費が高騰する」もしくは「本来、より多く配分したいハイパフォーマーに人件費を回せない」ということになります。
甘い評価となってしまう場合によくある原因の1つは、評価基準が曖昧であることです。曖昧な評価基準は、上司が、部下から低評価の理由についての説明を求められた際、十分な説明をできない恐れを持つ要因となり、結果、甘い評価をつけてしまいます。
評価基準がある程度具体的な内容であれば、客観性が増し、評価者も自信をもって評価の高低をつけやすくなります。評価基準を具体化していく上では、「職種別に人事評価表をつくる」ということも考えられます。弊社では、20年以上前から「職種別の人事評価表」という手法を確立していますが、職能等級・役割等級のいずれの制度がベースであっても、年功要素の低減には寄与できているとの実感があります(ある意味、部分的なジョブ型の人事制度、とも言えるかもしれません)。職種別の評価表サンプルは弊社のHP(以下)にも掲載しており、よろしければご参考ください。