【岡本】目標設定のコツを知る
目標管理制度は多くの企業で導入されています。ただし、目標管理制度の運用は難しく、十分に効果を発揮できていないケースも少なくありません。
目標管理制度を上手に運用するためには、特に、期初の段階での目標設定のポイントを押さえておくことが大切です。
目標設定のポイントは、次の4つになります。
・目標連鎖
会社目標から部門目標、部門目標から個人目標へと目標の具体化をすることがポイントです。それにより、各個人が目指す目標や意識のベクトルを合わせることができます。個人目標に取り組むことが、部門目標や会社目標の実現に繋がっていることが大切です。
・等級相応
各個人の役割や能力のレベルに応じた目標ではなく、各個人の等級に求められる役割や能力レベルに応じた
目標を設定することがポイントです。
・チャレンジ性
『現在の能力ではできないが、少し無理をすることでできそうな』チェレンジ性のある目標を設定することがポイントです。それにより、努力を必要とし、実行することで、個人の成長へと繋がります。
・達成基準の具体性
目標の達成基準は、できるだけ定量化できる基準を設定することがポイントです。もし、定量化が難しい場合でも目標を達成したときの状況や状態を明確にすることが大切です。いずれにせよ、より具体的に基準を設けることで、『何をすべきか』『達成までに必要なものは何か』がはっきりとします。それにより、達成度評価がしやすくなります。
今回は、特に目標管理制度をこれから導入使用している企業やまだ慣れていない企業向けに、目標連鎖を中心により適切な目標設定を行うための進め方を紹介します。
ステップ1:目標設定前に部門目標・方針を共有する場を設ける
まず、各個人が目標設定を実施する前に所属部門の目標・方針を共有する場を設けることが肝要です。
目標連鎖させるためには、当たり前のことですが、所属部門の目標・方針を理解しておくことが重要です。目標・方針を理解せずに個人目標を設定しても、各個人目標のベクトルはバラバラになります。そこで、所属部門の目標・方針をきちんと理解してもらう為の機会を作ることをお勧めします。単に所属部門の目標・方針を一方的に説明するだけでなく、その背景や意図、その目標達成することによるメリットを伝えたり、理解しているか確認したりしながら、きちんと共有しておくことが肝要です。
ステップ2:個人に期待することを伝える
所属部門の目標・方針を共有する場を設けたならば、次に、上司から個人に期待することを個別に伝える場を設けます。
上司から期待することを部下へ伝える意図としては、部門目標達成の為に、どのようなことに取り組んでもらうかについて、より具体的に目標設定の方向性を擦り合せるためです。上司から部下へ期待を伝えなければ、上司の意図しない目標を部下が設定する可能性があります。
例えば、営業部の目標が『売上対前年比10%アップ』とした場合、部下へ期待することとして伝える内容は『●●のマーケットを強化する』や『新規売上を強化する』などの一定の方向性を示すもので結構です。ここで期待することを伝えなければ、『広告宣伝費を上げる』などの上記の狙いとは異なる目標を部下が設定する可能性が出てきます。
こういったことを防ぐためにも、目標設定前に、面談を実施して期待する役割を個別に伝えておくことをお勧めします。
また、個別面談時には1つ目に上げた目標・方針を理解しているかどうかの確認も含めて実施することで、より適切な個人目標の設定がしやすくなります。
ステップ3:目標設定の内容をすり合わせる
期待することを伝えた後は、部下に個人目標を立ててもらいます。ただし、ここまでやっても上司の意図する目標が設定されるとは限りません。上司は部下の設定した目標を確認することが必要です。
部下の目標を確認する際には、目標を設定した理由や背景を部下から説明させることで、上司と部下との間での認識のズレがないかを確認します。部下の設定した目標について、認識のズレや不十分な要素がある場合には、上司からフィードバックを行います。このすり合わせを実施することで、全社目標と個人目標の繋がりをより強固にすることができます。目標のすり合わせは、部下が納得し、理解できるまで実施することをお勧めします。
以上目標設定の進め方の工夫について紹介しました。かなり手間や労力のかかることですが、より適切な目標設定を行うために、今回の内容を参考にして頂ければと思います。