「現状分析・診断」のイロハ⑥
前回は、「どのように賃金水準が決まるのか」というテーマで、賃金分析の観点について解説しました。今回は、賃金分析の進め方とポイントをお話しします。
◇賃金分析の進め方
賃金分析は、自社の賃金データを可視化し賃金水準の妥当性を検証する手法です。
賃金分析の進め方を整理すると、以下の通りです。ちなみに、分析には表計算ソフト(エクセル)が便利です。
①給与一覧表を作成する
社員の属性データ(年齢・勤続年数・職種・等級・役職….etc)と賃金データ(月給、残業込月給、年間賞与額、年収)を組み合わせて、表計算ソフト(エクセル)で給与一覧表を作成します。多くの中小企業では、上記のデータをバラバラに管理していることがほとんどです。
作成に時間がかかるかもしれませんが、人事制度を構築する時だけでなく、運用する際にも重要な資料となりますので、こういったデータも整理されることをお勧めします。
②プロット図を作成する
次に、賃金水準を可視化するために、プロット図を作成します。プロット図は、エクセルのグラフ機能で、「散布図」というグラフを選択すると作成できます。プロット図では、社員1人1人の賃金データが点(プロット)で表示され、全社員の賃金がどのような分布になっているのか、一目で分かるようになります。
◇賃金分析のポイント
さて、社員はどのような時に自分自身の給与・賞与に不満を感じるでしょうか?
具体例として以下のような事例が考えられます。
1)課長になると年収が下がった
2)優秀な成績を上げても、昇給額や賞与額に他の社員とほとんど変わらない
3)転職サイトをみると、同業他社の給与が自社より高い
賃金分析は、自社の賃金水準の妥当性を検証する手法です。1)~2)は社内公平性に対する不満、3)は社外水準と比較した際の不満といえます。このような不満が発生する原因を客観的に把握するためには、「社内」と「社外」の2つの視点から自社の賃金水準について分析を行う必要があります。2つの視点からバランス良く検証を行うことで、自社の問題点を客観的に把握できます。
今回は、賃金分析の進め方とポイントについて解説しました。次回は、「社内」の視点から賃金水準の問題点を導き出す際に必要となる着眼点とその解決手法をお話しします。