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【小田原】拡大期に最低限押さえる人事戦略とは?

拡大期のクライアントをご支援する際、人事戦略の重要性をクライアントの人事ご担当者様が感じておられるケースがよくあります。一方で、何から始めて良いか分からない、と言ったお悩みを同時に抱えておられるケースも多いです。

拡大期においては、「拡大することの緊急性の違い」は1つの重要論点となります。そこで、緊急性の有無によって、人事戦略がどのように変わってくるかについて、整理してみたいと思います。筆者は主に人事制度策定のご支援をしておりますので、人事制度策定への関連が強いポイントを中心にまとめます。(なお、今回は、機械などの資産への依存度が低く、労働集約的な事業を行っている企業様に当てはまりやすい内容となっております。)

 

まず、以下は、筆者なりに人事制度と人事戦略の関係性をまとめたものです。
(※必ずしも共通として言えるものではなく、事業内容、企業の時々の状況によってはマッチしないこともある点、ご了承ください。)

 

 

人事ご担当者様が人事戦略の検討でお悩みになるのが、「経営戦略・事業戦略」から「組織・業務体制、業務プロセス」「求める人材像」への落とし込みを行う際です。拡大期においては、「拡大することの緊急性があるか否か」は、人事戦略を考える上で重要なポイントとなります。以下のような観点で方向性が整理できていれば、人事制度をつくる上での最低限のポイントは概ね整理クリアできそうです。

 

【拡大の緊急性がある場合】

先発優位性がある・その他の事情等がある等で、今拡大しなければ機会損失が大きい場合では、緊急性が高いと言えます

このケースでは、組織・業務体制、業務プロセスにおいて、「分業化による業務効率化(一部業務の定型化・マニュアル化)」や「外注先の確保」と言った対策が必要になってきます。前者(分業化)の方針で進める場合、求める人材像は大きく分けると「A.効率化の仕組みを行うための人材」と「B.仕組みの中でオペレーションを行う人材」に分かれるでしょう。こうした整理ができれば、例えば「Aの人材により多くの人件費を回すために、Bの人材の人件費は抑え目にする」といった方針を打ち立て、人事制度への落とし込みも出来るようになります。

 

【拡大の緊急性がない場合】

「緊急性あり」の内容に該当しなければ、無理に拡大を急ぐ必要はありません。(無理はしないが、可能な範囲でなるべく早いスピードで拡大する、というケースもこちらに含みます。)

この場合、「従来の延長線上で考える」か「分業化による業務効率化を行っていくか」等を特段の制約なく考えることができます。今後、拡大していく上での組織のあるべき姿について、分業化による業務効率化のメリット・デメリットを踏まえつつ、検討すると良いでしょう。

 なお、分業化を行う際によく発生する事象としては、「非分業化(多能工)の体制の際からいた社員」と「分業化の体制になってから入社した社員」との間で、実力差が発生するといったことです。その結果、業務体制を変えてからの管理職の力量が低いという問題が良く起きます。対策としては、管理職候補人材の早期見極めと重点的な教育・必要な異動の実施、といったこと等があげられます。

ただし、実際に上記の対策を実行するのは難度が高く、思ったような状態に持っていけない可能性もあります。こうしたリスクも鑑みながら、検討を進めていただくと良いでしょう。

執筆者

小田原 豪司 | 人事戦略研究所 シニアコンサルタント

大学で経営学全般を学ぶなか、特に中小企業の「ヒトの問題」に疑問を感じ、新経営サービスの門をたたく。
企業の「目的達成のための人事制度構築」をモットーに、顧客企業にどっぷり入り込むカタチで人事制度策定を支援している。