【森谷】ベースアップ
春闘が最終盤を迎えています。
昨年・一昨年と比較すると見劣りするものの、引き続きベースアップや賃上げの傾向が続いています。
その流れを意識してか、中小企業でもベースアップを行う企業がチラホラ。
中堅企業・中小企業が社員満足度調査を行うと、多くの場合「賃金水準への不満」が挙がります。
そして、それを見た多くの経営者は「うちもベースアップを…」という発想になりますが、果たしてそれがいいのでしょうか?
ここ最近でベースアップを行った顧客企業(中堅企業・中小企業)を見る限り、残念ながら社員が感じるキーワードは「満足」「感謝」ではなく、もらって「当然」です。
日頃の業務状況を踏まえると当たり前、と捉えるのでしょう。
何が言いたいかと申しますと、「せっかくのベースアップが活きているか」ということです。
社員が、自身が受取る賃金を高いと感じるか否かは、物理的な水準の問題ではなく、やっている仕事に対して「割に合うかどうか」です。
賃金以外の不満足要因が大きい場合、相当な賃上げをしない限り満足度は向上しないでしょう。現に、ベースアップをしても、社員満足度調査の「賃金水準への不満」は解消されない場合がほとんどです。
経営の観点で人件費を考えるなら、
「販管費の多くを占める人件費。どうせ使うなら活きるお金にしたい。」
というところだと思います。
例えば、100人に一律1,000円ベースアップを行い月額10万円使う方がいいのか、成果を出している10人に絞って10,000円賃上げして月額10万円を使う方がいいのか。
考えどころです。