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【森谷】第16回:年俸制は難しい(1)

「賃金を年俸で支払いたい」というご相談は多いものです。

年俸制が流行った一時のように、「年俸なら残業を払わなくていいんでしょ?」といった誤った相談を受けることは少なくなりましたが、感覚的に捉えて導入を考えている経営者は多いですね。

 

が、その場合は「基本的に反対です」とお伝えしています。

 

【反対理由1】モチベーションにつながりにくい

 

賞与制度の良いところは、結果が直ぐに賃金に反映されるところです。

多くの企業では、評価期間を上期(4-9)と下期(10-3)で区切り、それぞれ1011月と45月に人事評価を実施しています。

同じく多くの場合、賞与は夏季67月、冬季12月に支給されます。

一般的には評価結果で賞与が上がったり下がったりします。評価と賞与のタイミングが非常に近く、モチベーションにつながりやすくなります。

 

この「やった結果すぐ」というのは非常に重要な概念です。

 

心理学において「PST」という考え方があります。

やったことの結果について、(1)結果が良いか悪いか、(2)結果が即時か後か、(3)結果が確かか不確実か、の3つの要素でそれぞれの影響力を測定した場合、(2)結果が即時か後か、が最も影響が大きいそうです。

PSTは、Positivenegativeか、Sokujiatoか、Tashikafukakujitsuか、の頭文字です

 

簡単に言えば、すぐに結果につながることに、人は最も影響を受けるということです。

 

年俸制にしてしまうと、たとえ頑張って成果を上げても、それが反映されるのは翌年の年俸です。また、逆もしかりです。

 

賞与制度の最もおいしい部分を放棄してしまうことになりかねない、というのが一つ目の理由です。

 

(第17回に続きます)

執筆者

森谷 克也 | 人事戦略研究所 所長

企業の内部環境・外部環境の変化を想定し、企業の成長を下支えする人事戦略の策定・推進が図れるよう、「経営計画-人事制度-人材育成」を一連でデザインする組織・人事コンサルタントとして実績を積んでいる。
カタチや理論に囚われない、「中小企業の実態に即したコンサルティング」を身上とし、現場重視で培った独自のソリューションを多く開発している。