人事制度のつくり方

人事制度の基本的な作り方や、サンプル・ひな形・事例などをご紹介します。

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人事制度策定のステップ

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人事制度策定のステップ

Step1. 現状分析

 人事制度の策定を始めるにあたって、まずは自社の現状を分析して、解決すべき課題をはっきりさせるところから始めます。特に、「社員の士気が低下している」「人が育たない」といった漠然とした課題がきっかけとなっている場合、まずは自社の現状を分析し、具体的に「どの属性の社員の」「どういった事が」「どのように問題であり」「理想はどのような状態である」等をはっきりさせるところから始めます。

【定量分析】

 決算書や賃金台帳の「数字」を通して、現状を客観的に把握します。例えば、決算書を分析し、同業他社と比較することで「自社の人件費は高いのか低いのか」「生産性は高いのか低いのか」といったことがわかります。あるいは、ひとりひとりの賃金を見ることで、「他社と比べて給与水準や賞与が高いのか低いのか」「管理職と非管理職の給与逆転など、社内で不均衡が起きていないか」といったことがわかります。

【定性分析】

 社員インタビューやES調査を通して、現場の声を吸い上げます。ここでは、経営者の感覚とは違った意見が出ることも多くあります。加えて、人事制度にとどまらず、社員の考えや大切にしたい想いも明らかになり、のちの制度策定に活きることもあります。

Step2. 方針策定

 人事制度は、経営理念・経営戦略との一貫性がなければ機能しません。まずは、自社のあるべき組織構造や企業風土、人材要件などを人事ポリシーとして定め、それを実現する手段としての人事制度を考えていくことになります。
 このタイミングで必ず「方針書」を作成し、制度の方針と大枠をまとめておきます。制度の詳細を意思決定していくにあたり、時折方針書に立ち返ることで、意思統一がしやすくなり、人事制度全体の軸がぶれにくくなります。
 また、同じタイミングで「人事制度を策定する(改定する)」ことを社内にアナウンスする場合もあります。導入時に社員が困惑しないためにも、現場社員の理解と協力を取り付けておくことが肝要です。

Step3. 制度設計

 人事制度の中心となる3つの柱を設計していきます。「等級制度」→「人事評価制度」→「賃金制度」の順につくることが多いですが、課題や方針によってはこの限りではありません。各制度の詳細については、下記のリンク先もご覧ください。

  • ①等級制度

    人事制度の骨格ともいえる部分です。まずは、コースや段階数、等級と役職の関係性といった枠組みを決めます。次に、等級ごとに求める能力・役割をまとめた「等級基準書」を作成します。

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  • ②人事評価制度

    昇給や昇格、賞与の決定など、他の人事諸制度を動かすための重要な部分です。また、社員に期待することを評価項目に盛り込んで、人材育成の指針とするといった使い方もできます。大きく分けて「成果・業績評価」「職務プロセス評価」の2つにわけて作成していきます。

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  • ③賃金制度

    社員の採用や定着、モチベーションに大きな影響を及ぼす部分です。とはいえ、支払える賃金には限界もあるため、「何に対して賃金を支払うのか」「どのように配分するのか」というところから丁寧に考えます。その方針に沿って、基本給・諸手当・賞与をそれぞれ設計します。

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【周辺制度】

 課題によっては、3つの柱をとりまく周辺制度にも手を加えていく必要があります。よくあるテーマとしては「退職金」「定年後再雇用」「契約社員・パート社員制度」などが挙げられます。特に退職金制度は、基本給や等級・役職と連動していることが多いため、併せて確認しておく必要があります。また、働き方改革の流れに対応して「同一労働同一賃金」「残業の適正化」といったテーマも注目されています。
 ただし、あれもこれもと一度に手をつけると、導入段階になって大きな変化に耐えられないこともあり得ます。「動かしながら修正していく」という考えのもと、優先順位をつけて取り組むことも大切です。

Step4. 移行シミュレーション

 新しい制度のもとで、人件費や賃金がどのように変化するのかシミュレーションします。社員個別賃金と総額人件費の両方について、大幅な(ねらいと異なる)変化がないか検証します。ここでねらい通りの結果が得られるまで、設計の微調整をくり返します。

【社員個別賃金】

 新しい等級制度に社員を当てはめ、ひとりひとりの賃金がどのように変化するかを見ます。特に、賃金が下がる社員に対しては、当面は調整手当をつけるなどの移行措置を検討する必要があります。賃金の減額は、単にモチベーションの低下を招くだけではなく、法的に問題となる(不利益変更にあたる)可能性もあるため、慎重な判断が求められます。

【総額人件費】

 人件費を一定の範囲に収めることができているかどうかを見ます。いくら社員にとって素晴らしい制度を策定できても、許容可能な人件費でなければ会社がもちません。調整手当の支払い等により導入後数年は人件費が上昇するのが通常ですが、数年後には落ち着くかどうかを確認したり、制度変更により昇給額が増えすぎたりしないかどうか等を確認します。

Step5. 社員説明

 いよいよ、新人事制度の導入です。完成した制度をまとめた「人事制度ガイドブック」などを作成し、社員説明会を行い、制度の理解・浸透を図ります。説明会では、ただ仕組みを述べるだけでなく、Step2.で定めた方針に沿って「我が社は社員に対してこのように考えます」といったメッセージを打ち出すことで、社員は前向きに受け入れやすくなります。加えて、説明会終了後には質疑応答やアンケートを実施し、社員の疑問や不安を丁寧に解消していくことが必要です。

Step6. 評価者研修

 新人事制度の運用を始めると、必ずといってよいほど問題となるのは、評価者の評価スキルや面談スキルの不足です。

  • ・評価者同士の評価基準への理解にばらつきがあり、甘辛が生じる
  • ・フィードバック面談をする際、部下にきちんとした説明や適正な目標設定ができない

などの問題が生じます。制度導入時には「評価者研修」をあわせて行い、新しい評価基準を浸透させ、評価力や面談力強化を図るとよいでしょう。

 人事制度は、作っておわりではありません。むしろ、導入が「はじまり」であり、この後にある運用こそが「本番」と言えます。はじめから完璧な制度というものはなく、実際に使ってみると微調整を要する部分が必ず出ます。先に述べたように「動かしながら修正していく」という考えのもと、細やかな手入れを続けていくことで、だんだんと制度が機能していくようになるのです。